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宿毛市産業振興課

【宿毛市】イチゴ栽培から考える天敵農法🍓

2021.12.06

こんにちは!
一般社団法人スタートアグリカルチャーすくもの新井田です。

さて、本日のお題は「天敵農法」。たまには真面目に考えて取り上げてみます。

天敵導入の様子

天敵導入の様子

公社では、最も重要な害虫であるハダニ類の防除として、天敵(チリカブリダニとミヤコカブリダニの2種類併用)をイチゴハウス内に導入しています。

そもそも「天敵農法」とはどういう農法なのでしょうか。辞書によると、【化学合成農薬に依らず生態系を活用して害虫を駆除する農法のこと。天敵農法では、害虫を捕食または病死させる生物などが農地に放飼される】と書かれてあります。天敵を使った害虫防除は、自然界にもともとあった食物連鎖を活用した人と環境に優しい農法と言われています。施設園芸が盛んな高知県では、ナスやピーマンなどのビニールハウスを中心に全国に先駆けて導入されてきました。

その一番のメリットは化学農薬を使わないこと。化学農薬は残留農薬の心配だけでなく、散布に労力がかかり人件費がかさむという課題がありましたが、天敵昆虫はハウス内に放飼するだけ。人手がいらないし、一旦定着すれば次の世代が生まれ自然に増えてくれるのです。

日本で最も天敵を利用しているのは高知県だとも言われています。もともと天敵農法は欧米が発祥であり、その先進地はオランダやデンマーク、ベルギー、ドイツ、アメリカなど。日本は後発ですが、高知県には好奇心旺盛でおおらかな県民性があり、こういった技術の導入には非常に良い土壌であったことを伺い知ることができます。

今、日本では農業従事者の高齢化が進んでおり、現場は人手が足りていません。さらに、次代を引き継ぐ担い手が不足していることも大きな課題です。天敵農法は、作業の負担が少ない上に「安全・安心」という付加価値も期待できるので、こうした農業の課題解決にも貢献できるものと思われます。ここ高知県から、新たな農業の未来を発信していきたいですね。