就農者インタビュー

Start Farming

小松寛幸さん
雇用就農

「ものづくり」へのあこがれ

小松 寛幸さん(43歳)
[高知市/株式会社トマトの村]
雇用就農後、経営へ参画

小松寛幸さん

 私は高知市出身で、県外の大学進学後、高知市内で製造業を営む会社に就職しました。営業職をしていましたが、「ものづくり」へのあこがれがありました。
 自分でものを作り、売ることのできる農業に魅力を感じ、家族の理解を得て、2009年8月に農大研修課(現・高知県立農業担い手育成センター)に入校しました。
 就農を志した当初は漠然と独立就農を考えていましたが、農業について学ぶうちに、非農家出身者が農家になるのは、ハードルが高いと考えるようになり、雇用就農へと目が向き始めました。
 研修しながら農業法人をいくつか見学させてもらった時に、現在勤務する「トマトの村」の社長との出会いがあって、社長の人柄やオーラに一目惚れ。この人と一緒に働きたいと思ったんです。
 すぐに就職し、厳しくも温かく指導して頂きました。しかし、それから約1年で社長が亡くなり、社長の奥様が経営を引き継ぐことに。経営を一手に担っていた前社長がいない混乱の中、税理士やコンサルタントの協力のもと、経営状況を数字に起こしていきました。あの時は落ち込む暇もなかったですね。そうして、生産・出荷部門でも責任者をさせてもらうようになりました。

経営への参画で大変さと面白み

小松寛幸さん

 当時、トマトの村は個人経営でしたが、2015年に法人化。その後、自慢のトマトを使った商品を食べてもらいたいと、高知市郊外に、トマトが主役のタルト・パイの専門店「野菜がタルト」をオープンしました。
 私たちの商品を食べてくれる人たちと、顔の見えるつながりを持ちたいとずっと考えていたので、こうしたお店をオープンできたことにやりがいを感じています。出店に向けた税理士とのやりとりや、商品開発に向けたフードプランナーとの打ち合わせなど、責任者として、法人だからこそできる経験をさせてもらっています。
 法人化してからは、役員として本格的に経営にも携わるようになりました。視点が変わり大変なところもありますが、面白みも感じています。また、高知県のものづくりは全国でも光っているし、ものづくりができる自分たちの会社には、まだまだ伸びしろがあると感じています。今後も社員一丸となって農業の魅力を発信し、若い人材が働きたくなるような農業法人に成長していきたいです。

就農を考えているみなさんへ

 農業法人は、自分たちで作ったものを自分たちで売ることができるのが強みです。法人としてこの様な体制が十分に整っているからこそ、加工や飲食店経営など多様な経営展開ができています。
 就農には独立だけでない様々な形があると思います。自分に合った農業の形を、是非考えてみてください。