就農者インタビュー

Start Farming

竹中太一さん
親元就農

農家の両親を少しでも楽させてあげたい

竹中 太一さん(36歳)一雄さん(父・63歳)
[香南市/施設トマト農家]

太一さん:地元の大学を卒業後、県外で就職し、殺虫剤の製造ラインの設計や、船の電気配線の設計の仕事をしていました。
 子どもの頃や帰省時には父の農業の手伝いをしてきましたが、農業を仕事にしようと考えるようになったのは、就職して5~6年経った頃です。帰省した際に両親が徹夜で作業していて、自分が実家に戻ったら少しは楽させてあげられるかな、と思ったのがきっかけでした。
 小さい頃から両親を見てきて、すべて自分でやらなければならないという農業の大変さも理解していますが、農作業は嫌いじゃないし、人間関係の悩みが少ないことも魅力でした。

竹中太一さん

(父)一雄さん:息子が帰ってくると言うので、何か支援してもらえる制度がないか、市に相談したところ、Uターンした息子を親元で研修させるための支援制度ができたと教えてくれました。県の農業振興センターの支援もあって、その補助事業を活用することにしました。
 補助事業では、高知県立農業担い手育成センターに3ヶ月以上入校することが条件付けられていましたので、息子を入校させることにしました。

県立農業担い手育成センターでの3ヶ月研修

竹中太一さん

太一さん:最初は、親の農業を継ぐに当たってセンターに行く意味を感じられず、「一体何をしに行くの?」と思っていました。でも実際入校してみると、農業を学問として体系的に学ぶことができて、農業系の学校を出ていない自分にとっては目から鱗でした。父のもとでやってきた作業のひとつひとつの意味を改めて理解することができました。トラクターなどの機械操作の実習もあり、それもありがたかったです。
 あとそれ以上に良かったのは、農家として成長したいという同じ志を持った仲間ができたことですね。私が入校した時には、20代から40代の9人の同期がいました。実習を終えて寮に帰ると、同期たちと作業を振り返って疑問点を共有したり、翌日の作業について相談したりしました。みんなでくだらない話もたくさんしましたよ(笑)今はそれぞれ別々の市町村で就農していますが、今でも仲良しで、定期的に集まっています。

(父)一雄さん:私はこれまでの経験があるので、トマトの樹を見れば、何をしなければならないか判断できるんです。でも息子はそうはいかない。作物の生育状況や灌水量を記録して、作業をマニュアル化していってもらいたいと思っています。そのための基礎をセンターで学んでくれたことは、とても良かったと思いますよ。
 これから息子にはハウスを任せていきたいと思っています。最初は1棟から始めて、任せる範囲を増やしていく予定です。世代交代をすることで経営を伸ばしていかなければならないと思うし、そのためには家にいるだけじゃ進歩しない。外の世界を見ることが大事です。技術もどんどん進歩していますからね。そして、親は息子に任せる方がいい。失敗しても取り返しがつく範囲なら、それが経験になります。そうやって若い人が経験を積める環境をつくることも必要だと思っています。

竹中太一さん

太一さん:農家の家に生まれたから、農業のことを分かっているつもりでしたが、今回センターで研修を受けることで、分かっているようで分かっていない事があることに気づけました。
 私と同じような農家の跡継ぎも、センターの研修を活用すると良いと思います。世代交代やその後の経営発展の役に立つし、きっと楽しいと思いますよ!