就農者インタビュー

Start Farming

越智史雄さん
自営就農

受け入れていただくということ

越智 史雄さん(50歳)
[高知市/施設キュウリ農家2年目]
東京都からIターン就農

農業との出会い

 東京の外資系IT企業で管理職を務めていましたが、25年も全力で走り続けてくると、「今までしたことの無い、新しいことに挑戦したい」という思いが募ってきました。そんな時、妻が高知県主催の農業セミナー「こうちアグリスクール東京会場」の受講生募集の記事を見つけてきたんです。
 受講してみると、高知県の農業の特色や農業技術の詳しい話が聞けて、回を重ねる毎に興味が湧いてきました。それに高知県は、農業体験や研修など、段階に応じてメニューが用意されていて、就農まできちんとレールが敷かれていると感じました。そこが決め手になって、セミナー終了後、ほどなく退職。妻と高校生の娘を東京に残して、四万十町にある高知県立農業担い手育成センター(以下「センター」)の長期研修に入りました。

経験して初めて分かることも

 センターでは寮に入って、色々な野菜の実習をし、講義を受けました。学生のような生活がまたできて、本当に楽しかった。
 センターでの研修中に、就農する地域や品目を決めますが、キュウリは生長が早く、手掛けたことの結果が2週間程度で見えるし、また、失敗のリカバリーもできる。そんなところが自分に合っていると思いました。最初は別の野菜も考えましたが、作業が体に合わないものもあったりして、経験してみないと分からないものだなと思いましたね。

受け入れていただくということ

越智史雄さん

 その後、高知市春野町の師匠(指導農業士)に弟子入りした1年間は、地域に溶け込むための期間でもありました。近隣農家で集まってハウスのビニール張りや補修をする活動にも参加させてもらい、地域の祭りや行事にも積極的に参加しました。
 田舎だから受け入れてもらうのが特別大変というよりは、私にはそれがとても楽しかったし、どんなコミュニティの中でも、信頼関係を丁寧に築いていくことが大切だということは変わりません。技術指導の面だけでなく、私が地域に溶け込めるよう配慮してくれた師匠には、本当に感謝しています。
 そうしてできた繋がりの中で、空きハウスを紹介してもらい、2015年に独立することができました。初年度の成績はまずまずでしたが、失敗した部分から得たノウハウを活かして、今年は自分でも比較的満足のいく収量を上げることができました。

家族のこと・これから

 移住と就農を決めたとき、私の選択を「誇りに思う」なんて言ってくれた娘は、今年から東京の大学へ進学。「あなたの好きなようにすればいいよ」と言ってくれた妻は、この春から、計画通り高知で一緒に暮らし始めました。
 今、多くの人との出会いを繋げて、人生の新しいスタートができたことを、とても幸せに感じています。次作はハウスを拡大する予定もあり、農業も生活も、色々な変化を楽しみたいと思っています。