就農者インタビュー

Start Farming

都築廣和さん
自営就農

誰もができる農業、やりたいと思える農業を目指して

都築 廣和さん(40歳)
[南国市/シシトウ農家4年目]
香南市の非農家出身

新規就農のきっかけ

 前職は運送会社に勤めていました。私が小学生の頃までは親が農業をやっていて、ハウスでピーマンやキュウリ、花き、ニラなどを作っていたので、よくハウスに入って遊んでいましたね。
 実は会社員として働きながら「ずっと農業をやりたい」と思っていましたが、農業は未経験だし親も農業を辞めていて農地も無かったので何から始めたらいいのかわからない状態でした。そんなとき、同じ会社に私と同じく農業をやりたいという同僚を見つけ、2人で高知県庁の就農相談窓口に相談しに行くことになりました。そこで話をしたときに、農業を基礎から学べる高知県立農業担い手育成センターという研修施設があることを知りました。また、新規就農を目指す人に対して色々な支援を受けられることを知り、「これなら自分にもできそう」と就農を決意した一番の決め手になりましたね。
 就農を決意してからは、約1年間かけて情報収集や高知県中央東農業振興センターへ相談に行きながら準備を進めていました。当初は地元の香南市で就農を考えていたので、ニラ栽培が盛んな香南市では、必然的にニラでの就農を考えていましたね。そして、2015年1月に高知県立農業担い手育成センターへ入校し、新規就農に向けた研修をスタートさせました。

農業研修で気づくこと、そして大きな方向転換

都築廣和さん

 高知県立農業担い手育成センターでは、基本に忠実な栽培技術を教えてくれるので、私のような農業未経験者が最初に農業を学ぶにはとても有意義でした。また、施設内のハウスで高知県内の主要品目(ナス、ピーマン、シシトウ、キュウリ、ニラ)を栽培しているので、それぞれの品目を一通り研修できたことが良かったです。
 研修を始めて3ヶ月が経った頃、農業の知識やハウスでの栽培実習などを研修することで当初考えていた自分の進路に疑問を感じるようになりました。自分が希望しているニラでは、目標とする収入を得るためには広い農地が必要だと分かったんです。さらに情報収集していくうちに、当時は農地のない就農希望者が広い農地や空きハウスを一から見つけるのは難しいことも分かってきました。他の品目に目を向けたとき、シシトウなら面積が狭くても十分な収入を得られることが分かり、香南市でシシトウだと考えましたが、隣には高知県内でもトップレベルのシシトウ産地の南国市がありました。地元の香南市からも近いし、どうせやるならトップレベルの産地の南国市でやりたいと思い、就農場所も南国市に方向転換しました。

誰もができる農業、やりたいと思える農業を目指して

 高知県立農業担い手育成センターの研修期間中に自分の目指す農業像を確立するきっかけがありました。
 それは環境制御技術に出会ったこと。環境制御技術はハウス内の気温や湿度、二酸化炭素濃度などをセンサーで測定し、そのデータを見ながら植物に最適な環境にすることで、収穫量を増やすというもの。高知県立農業担い手育成センターに入る前はそういった技術があること自体も知らなかったので、農業はここまで進んでいるのかと驚きましたね。農業は長いキャリアで培った勘と経験が必要だと思っていました。データをもとに栽培ができるなら、私のような農業未経験者でも農業を始めやすいなと感じました。研修に入る前と後では農業のイメージが大きく変わりましたね。
 先端技術を使ったハイテク農業、こういったイメージが広がっていけば、もっと多くの人に「農業はできる・農業をやりたい」と思ってもらえるんじゃないかと思っています。

産地での実践研修、そして独立

都築廣和さん

 高知県立農業担い手育成センターで基礎研修をした後、南国市のシシトウ農家のもとで1年間研修をしました。農地は研修受入先の農家さんが色々と探してくれ、研修中に無事に20aの農地を確保することができました。農地については受入先の農家さんにお世話になりっぱなしでしたね。笑
 1年7ヶ月の研修の後、2017年8月に南国市のシシトウ農家として独立、受入農家さんが見つけてくれた土地に12aのハウスを建てました。独立と同時に環境制御技術も導入し、栽培管理をデータ化することで、好成績を維持しています。就農4年目となる今年はハウスも18aに増築しました。今まで辛いと思ったことはありませんね。農業は会社員と違い、自分でお金を生み出している感覚があり、自分がやったらやった分だけ返ってくるのが楽しいです。

高知県で新規就農を目指す人へアドバイス

 自分を律することが大事ですね。農業は自由度が高く、自分でいろいろ決めてできることに楽しさがありますが、逆に誰も指示を出してくれないので、自分に厳しくないとどんどんやらなければいけないことが遅れてきます。
 また農業は計画を作り、その計画通りに作業をこなしていくことが必須です。失敗しないようにするには、高知県立農業担い手育成センターでの基礎研修や産地での実践研修で農業の1年の作業の流れを体験して身につけておくことが大切です。そうすれば、農業経験のない私でも実現できたように、先端技術を駆使した稼げる農業がきっと実現できるはずです!